広報の効果測定というと、掲載数や広告換算値がよく挙げられます。ただ、それだけでは次の発表で何を変えればよいかがわかりません。配信会社の管理画面で見えるのは、配信会社のサイトでの閲覧数や転載先までで、リリースを読んだ人が自社サイトに何人来たかは見えないからです。
運営元の株式会社アマノートは、2025年10月から1年間担当したBtoB企業のプレスリリースで、リンクごとに計測用のパラメータを付け、配信会社の数字とGoogleアナリティクス(GA4)の数字を合わせて毎月まとめていました。この記事では、その測り方と、少人数の広報でも追い続けられるKPIの置き方を紹介します。
広報の効果測定で見る指標
指標は、発表の量、配信会社のサイトでの読まれ方、自社サイトへの流入、その先の成果に分けると整理しやすくなります。アマノートが月次の報告で使っている指標は次のとおりです。
| 指標 | 見るもの | 出どころ |
|---|---|---|
| 配信本数 | その月に配信したリリースの数 | 配信会社の企業ページ |
| PV・訪問者数 | リリースが配信会社のサイトで読まれた回数と人数 | 配信会社の管理画面 |
| 転載数 | 提携メディアに転載された件数 | 配信会社の管理画面 |
| 自社サイトへの流入 | リリースのリンクから自社サイトに来た人数 | GA4(計測用パラメータ) |
| クリック率 | 自社サイトへの流入 ÷ PV | GA4と配信会社の管理画面 |
| 問い合わせ | フォームの送信数 | GA4(送信を計測している場合) |
配信会社の数字には範囲があります。PR TIMESの管理画面のレポートで見られるPVと訪問者数は、PR TIMESのサイト上で読まれた分だけで、転載先のメディアでの閲覧は含まれません。転載先は提携メディアの一覧でURLを確かめられますが、記者が取材して書いた記事は、その一覧には入りません(2026年10月24日にPR TIMESのヘルプで確認)。
広告換算値をKPIにしない
広告換算値は、掲載された記事の大きさを同じ枠の広告費に置き換えた金額です。効果測定を解説するページでは今もよく紹介されていますが、アマノートでは報告の指標に入れていません。掲載の大きさは示せても、読んだ人が動いたかどうかは示せないからです。
広報の効果測定の国際団体AMECは、2025年6月に改定した「バルセロナ原則4.0」で、広告換算値を使うべきでない指標としています。国内でも、日本パブリックリレーションズ協会はPRアワードの応募要項で、成果の欄にパブリシティの広告換算値を書くことを認めていません(いずれも2026年10月24日に各団体の公式ページで確認)。
プレスリリースから自社サイトへの流入を測る手順
リリースごとの流入は、リンクに計測用のパラメータを付けて、GA4で数えます。配信の前にやることは、リンクのURLを書き換えることだけです。
リンクごとにUTMパラメータを付ける
UTMパラメータは、URLの末尾に付けて流入元をGA4に伝える仕組みです。GA4のヘルプは、utm_source(参照元)、utm_medium(メディア)、utm_campaign(キャンペーン名)の3つを必ず付けるよう案内しています。これに、同じリリースの中でリンクを区別するutm_contentを足します。
| パラメータ | 入れる値 | 例 |
|---|---|---|
| utm_source | 配信会社 | prtimes |
| utm_medium | 流入の種類 | referral |
| utm_campaign | 配信日とテーマ | 20261024_newservice |
| utm_content | リンクの位置 | lead(リード文)/body(本文)/profile(会社概要) |
たとえば、2026年10月24日の新サービスのリリースで、リード文に置くリンクは次のようになります。
https://example.co.jp/service/?utm_source=prtimes&utm_medium=referral&utm_campaign=20261024_newservice&utm_content=lead
utm_mediumの値は自由に決められますが、GA4のチャネルの分類に当てはまらない値(たとえば「pressrelease」)にすると、チャネル別の表では「Unassigned(未割り当て)」にまとめられます。GA4は、メディアが「referral」の流入を「参照」のチャネルに分類します(2026年10月24日にGA4のヘルプで確認)。キャンペーン名に配信日を入れておくと、あとで並べたときに時系列で追えます。
注意したいのは、自社サイトの中のリンクにはUTMパラメータを付けないことです。お知らせ欄に載せたリリースから自社の別のページへのリンクにまで付けると、その人がもともと検索や広告から来ていても、流入元の情報がリリースに書き換わってしまいます。パラメータを付けるのは、配信会社のサイトに出す版のリンクだけにします。
GA4でリリースごとの流入を数える
GA4では、「レポート」の「集客」にある「トラフィック獲得」を開き、表の項目を「セッションのキャンペーン」に切り替えると、リリースごとのセッション数が並びます。リンクの位置ごとに見たいときは、「探索」で「セッションの手動広告コンテンツ」を項目に選ぶと、utm_contentの値ごとに分かれます。
月次でまとめるときは、その月に配信したリリースからの流入と、過去のリリースから今月来た流入を分けて集計しています。リリースは配信会社のサイトに残り続けるので、数か月前のリリースから来る人もいるからです。
問い合わせの件数までつなげる
問い合わせフォームの送信をGA4のキーイベントとして計測していれば、同じ表にキャンペーンごとの問い合わせ件数も並べられます。送信を計測していない場合は、まず流入の数までを指標にして、フォームの計測はサイトの担当者と相談して足していくのが現実的です。
測った数字を次のリリースに活かす
数字は1本ずつ見るより、リリースの種類ごとに並べると、次に何を変えるかが見えてきます。BtoB企業のリリースなら、新サービスの発表、展示会への出展、セミナーの告知、調査結果の発表のように分けられます。
そのうえで、変える候補を、切り口、タイトル、配信の曜日と時刻、リンクの置き場所に絞ります。一度に全部を変えると、どれが効いたのかがわからなくなるので、次のリリースで変えるのは1つか2つに絞るほうが、結果を読み取りやすくなります。
転載が多いリリースはクリック率が高めに出る
クリック率を比べるときは、転載の多さに注意します。転載先のメディアにも、リリースのリンクがUTMパラメータごと載るため、転載先から来た人も自社サイトへの流入に数えられます。一方で、分母のPVは配信会社のサイトで読まれた分だけです。転載が多いリリースほど、クリック率は実際より高めに出ます。
アマノートの月次の報告では、数字の定義とあわせて、こうした読むときの注意も書き添えています。数字だけを渡すと、転載が多かった回のクリック率を見て「このタイトルが効いた」と読み違えやすいからです。
Googleニュースに載ったかも記録する
配信会社のサイトに出したリリースは、Googleニュースに表示されることがあります。Googleニュースは申請がいらず、条件を満たしたニュースサイトの記事が自動で候補になりますが、表示される保証はありません(2026年10月24日にGoogleのパブリッシャー向けヘルプで確認)。
自社のSearch Consoleで見られるのは自社サイトの表示だけで、配信会社のサイトに載ったリリースの表示はわかりません。そこでアマノートでは、自社のお知らせを配信したら24時間以内にGoogleニュースで社名を検索し、載ったかどうかを管理シートの備考に残しています。配信サイトごとの表示の違いはニュースリリースとプレスリリースの違いで紹介しています。
少人数の広報で置くKPIの例
広報担当が1人か2人なら、KPIは毎月自分で数えられるものに絞ります。私たちの見方では、配信本数、自社サイトへの流入、問い合わせの3つがあれば、行動の量から成果までを一本の線で追えます。
| KPI | 何を表すか | 数える場所 |
|---|---|---|
| 配信本数 | 発信の量(自分で決められる) | 配信会社の企業ページ |
| 自社サイトへの流入 | リリースを読んだ人が動いたか | GA4のキャンペーン別の表 |
| 問い合わせ | 事業の成果につながったか | GA4のキーイベント |
PVや転載数は、KPIにはせず、流入の増減を読むときの手がかりとして横に置いておきます。どちらもメディアや読者の側の判断で決まり、自社の手で直接は動かせないからです。転載と、記者が書いた記事の違いはメディア掲載の方法で整理しています。
これからの指標の候補として、生成AIの回答に自社の名前やリリースが出てくるかを見る方法もあります。決まった質問をAIに定期的に投げて、回答に社名が出るか、出典にリリースが挙がるかを記録するやり方です。まだ測り方が定まっていない指標なので、KPIの横に置く観察項目として始めるのがよいと考えています。配信サイトごとのAIのクローラーの扱いと、回答の記録のしかたはAI検索に引用されるプレスリリースの条件で紹介しています。
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測る前の原稿づくりはプレスリリースの書き方とテンプレートで、代行を頼むときに報告の中身をどう決めるかはプレスリリースの配信代行で説明しています。測った結果を翌年の発表の予定に反映するときは年間広報計画の作り方を、掲載や返信の記録を媒体ごとに残す表はメディアリストの作り方を参考にしてください。
運営元の株式会社アマノートでは、リリースごとに自社サイトへの流入を測るプレスリリースの作成・配信の代行と、これまでに出したリリースの分析も受けています。
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