企業からマスコミへ取材をお願いするメールには、取材の題材、今知らせる理由、その媒体の読者との関係、取材で確かめられることを書きます。「当社を紹介してください」だけで終えず、記者や編集者が企画として検討できる材料を短く渡すのが基本です。
この記事は、企業の広報担当から新聞・テレビ・雑誌・Webメディアに、取材を提案する場合の書き方を扱います。記者から企業へ取材を申し込むメールとは、送る向きが逆です。取材企画とイベントの案内の文例、送る前に確かめる項目、返信が来たあとの進め方を紹介します。
取材依頼メールを書く前に、相手の担当と窓口を確かめる
送り先は、知名度だけで選ばず、最近扱っているテーマ、主な読者や視聴者、記事・番組の形式から絞ります。商品を紹介する媒体と、業界の課題を報じる媒体では、必要な材料が違うためです。
担当記者がわかる場合は、その人の担当分野を確かめます。面識がなく連絡先もわからない場合は、媒体が公式に案内している情報提供や企画募集の窓口を探します。
ここで注意したいのが、「取材のお申し込み」という窓口の意味です。例えば、KADOKAWAの取材申し込み案内は、同社への取材を希望する人に向けたものです。「取材」の文字があるからといって、その会社が運営する媒体への売り込み先とは限りません。誰から誰に向けた窓口なのかを読みます。
情報提供フォームも、募集内容や利用条件を確認してから使います。例えばテレビ東京のニュース投稿には募集要項があり、広告・営業行為に該当するものを禁止する規定もあります。会社の紹介を送りたいという理由だけで、すべての投稿窓口を使えるわけではありません。
マスコミへの取材依頼メールに入れる7つの項目
| 項目 | 相手が判断できるようにすること |
|---|---|
| 件名 | 何の取材提案か。日付や場所に意味がある場合は、その情報 |
| 名乗りと連絡した理由 | 誰からの連絡か。なぜその媒体に届けたいのか |
| 新しい事実 | 何が始まる、変わる、わかったのか |
| 読者との関係 | どんな人の、どんな疑問や課題に関係するのか |
| 取材で確かめられること | 話を聞ける人、見られる現場、提示できる資料 |
| 条件と参照資料 | 対応できる日程・場所・方法、公開済みの発表や写真の参照先 |
| 連絡先 | 担当者、返信先、連絡可能な方法 |
7項目を、同じ長さで書く必要はありません。特に、なぜその媒体の読者に関係するのかと、取材で何を確かめられるのかに言葉を使います。会社の沿革やサービスの全機能は、参照先に分けられます。
PR TIMES MAGAZINEも、メールでプレスリリースを送る際の件名・本文・添付資料の整え方を解説しています。プレスリリースをそのまま貼る前に、メールだけで題材を判断できるかを見直す参考になります。プレスリリースをメールで送る方法
取材依頼メールの文例:企業から企画を提案する場合
次は、受注作業の見直しを進めた架空の会社が、地域の経済媒体へ取材を提案する例です。事実や掲載実績を示す文面ではありません。[ ]の部分を自社で確認した内容に置き換え、送る必要のない項目は省いて使ってください。
件名:[地域名]の小規模工場で行う受注作業の見直しについて、取材のご提案 [媒体名・担当者名]様 突然のご連絡失礼いたします。[会社名]の[氏名]と申します。 貴媒体の[実際に読んだ記事・特集]を拝見し、 地域の小規模事業者の業務改善に関する題材として、ご連絡いたしました。 当社では[開始時期]から、[見直した業務と、その背景]に取り組んでいます。 取材では、従来の作業との違いを現場でご覧いただけるほか、 [対応できる担当者]が、変更した理由と残っている課題をお話しできます。 発表の概要:[公開済みの資料URL] 取材可能な時期・場所:[確認済みの条件] 提供できる資料:[写真・図・確認可能な記録] 読者の皆さまに関わる題材として、ご検討いただけましたら幸いです。 ご関心をお持ちいただけましたら、日程と必要な資料を調整いたします。 [会社名/部署/氏名/連絡先]
この例で伝えているのは、会社の優秀さよりも、取材したときに見聞きできる中身です。「画期的」「業界初」のような形容は、確認できる根拠がなければ入れません。担当者の経験談を、自社以外にも当てはまる事実として広げないことも必要です。
取材依頼メールの文例:イベントへ来てもらいたい場合
イベントは、開催日だけでなく、取材で見られる場面と受付の条件が判断材料になります。次も架空の例です。一般参加の申し込みと報道関係者の受付が分かれる場合は、その違いを伝えます。
件名:[開催日・地域名][イベント名]の取材のご案内 [媒体名・担当者名]様 [会社名]の[氏名]と申します。 [開催日]に[場所]で開催する[イベント名]について、 [読者・視聴者との関係]の題材として、ご案内いたします。 当日は[実際に見られる実演・展示・活動]をご覧いただけます。 [対応者]への取材は[対応できる時間・方法]で調整可能です。 開催日時:[日時] 会場:[場所] 撮影できる範囲:[事前に確認した条件] 概要:[公開済みの案内URL] 取材受付:[申し込み方法・調整に必要な期限] 取材をご検討いただけましたら、[窓口]までご連絡いただけますと幸いです。 [会社名/部署/氏名/連絡先]
記者が知りたい場面が、式典そのものとは限りません。実演、参加者の声、担当者の説明など、案内できる材料を具体的にします。参加者への撮影や取材が未調整なら、可能と断言せず、調整の要否を伝えます。
自社の掲載依頼で使っている方針を、取材提案にどう活かすか
ビズPRの運営会社アマノートは、Webメディアへの掲載依頼で、お願いの対象を絞り、掲載の判断は相手に委ね、返事がない相手に催促を重ねない方針を公開しています。メディア掲載の方法で、実際の文面とともに紹介しています。
これは既存記事への紹介をお願いする際の運用で、記者への取材提案の成功事例を示すものではありません。そのうえで本記事では、取材提案でも一通の論点を絞り、相手が取り上げるかどうかを判断できる材料を渡す書き方を勧めます。
「いつ掲載していただけますか」と決定を前提に進めず、まず関心の有無を確かめます。取材を受けても、記事化や放送の有無、時期、見出しを企業の希望どおりに決められるとは限りません。事前に確認が必要な条件がある場合は、取材を引き受ける前に相談します。
取材依頼メールを送る前の確認項目
- その媒体が扱うテーマと、自社の提案に接点がある
- 宛先やフォームが、企業からの情報提供を受け付ける窓口になっている
- 件名と冒頭を読めば、取材の題材と連絡した理由がわかる
- 新しい事実と、その根拠になる資料を確認した
- 取材に応じる人、見せられる場所、撮影の条件を確認した
- 資料URLが相手の環境でも開ける状態になっている
- 添付が必要な場合は、相手の指定形式や容量に合わせた
- 未公開情報や第三者の情報を、確認なく含めていない
- 返事を受け取る担当と、次に連絡できる方法が決まっている
資料を多数添付して説明を補う前に、メール本文を短く読んで題材が伝わるかを確かめます。パスワードや複雑な操作が必要な資料は、相手にその負担をかける必要があるかも考えます。
返信が来たとき・来ないときの対応
関心があると返事が来たら、取材条件を確認する
知りたい論点、希望する相手、日程、方法、撮影の有無、追加で必要な資料を確認します。公開できない範囲や調整が必要な内容も、この段階で伝えます。発表内容を読んでもらったことと、取材条件が決まったことを分けて扱います。取材が決まったあとの準備から掲載後の確認までは、取材依頼が来たときの対応手順で説明しています。
返信がない場合は、同じ催促を繰り返さない
返事がない理由は、メールだけでは判断できません。すべての窓口が返信を約束しているわけでもないため、送信直後に電話や別の宛先へ同じ内容を重ねないようにします。期限のあるイベントや追加の事実がある場合も、相手の案内とこれまでのやり取りを踏まえて連絡の要否を決めます。
有料の提案が来たら、取材企画と広告を区別する
料金が提示された場合は、依頼した窓口、掲載の形式、料金の対象を確認してから社内で判断します。通常の取材への協力と、費用を払う記事広告の発注は、検討する内容が異なります。掲載の種類そのものは、転載・記事化・記事広告の違いも参照してください。
